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ナンとタンドール


インド・ビカネールのとあるレストラン店頭のタンドール

今日はインド料理に欠かせないであろう、ナン(インドの代表的なパン)とタンドール(炭火の釜)のお話を。

(写真はインド・ビカネールのとあるレストラン店頭のタンドール)

よくお客様に「ナンはないの?」と聞かれます。

当然ですよね、インド料理にナンは欠かせないもの。

少なくとも日本のインド料理屋さんではそうなっています。

申し訳ありません、当店ではナンはやっておりません。

それはなぜか?

タンドールの中。炭火が見えます。

それは当店がタンドールが設置できないほど狭いからです。

ナンはタンドールという釜で焼いてこそのものです。

壺状の釜の底には炭火が息っていて、その内側の壁に生地を貼り付け蓋をし、一気に蒸し焼きにするのです。

腕のいい料理人と整った環境であれば、ものの5分もあれば焼きあがります。

焼きあがったナンは外はパリッと、中はフワッとしていて、それは美味しいものです。

しかし、本場のインドでも基本的には外食でしか食べられないものです。

ちょうど日本人が蕎麦やうどんが好きだからと言って家で簡単には打たないように、インドの家庭でもナンは作りません。

というか、タンドールがないから作れません。

ではインド人の家庭では何をカレーと食べているのか?

よく「北ではパン、南ではご飯」と言いますが、確かに南インドはお米文化でご飯や米粉を使った蒸しパンなどをよく食べます。

北インドやネパールはパンばかりかというと、実はご飯も割と食べています。少なくとも私が知っているインド人家庭やネパール人家庭では、頻繁に食べていました。

もちろんパンもよく食べます。

家庭で作るパンはチャパティという全粒粉を使った平焼きパンがメインです。

ナンのような甘味もふんわりした食感もないですが、玄米や雑穀米などに通じる滋味があり、カレーの味を殺すことなく食べられます。

このチャパティの中にスパイスで味付けしたいろんな具を入れたパラータや、チャパティ生地を油で揚げたプーリーなども好んで食べられています。

当店にナンがない理由、タンドールが狭くて置けないというのもあるんですが、一般家庭で食べられている美味しいインド料理を知っていただきたいから、という思いです。

ナンは他のインド料理屋さんでも食べられるのだし、正直タンドールを扱う腕はインド人コックさんには敵いません。

ならばインドのお母さんたちよろしく、気取らずホッコリできる家庭料理を食べていただこうと。

まだまだ本当にやりたい形にはなっていませんが、頑張って少しずつ、理想に近づけようと思います。

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